第45回名作コンテスト入賞作品
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第45回土佐さんごまつり名作コンテスト入賞作品
第45回 土佐さんごまつり名作コンテストは、
コロナ禍の影響によりWEB開催となりました。
立体・平面彫刻の部
宝飾の部
特別出展 現代の名工 前川泰山
宝石珊瑚美術工芸の第一人者であり、現代の名工として今なお新たな作品創りに精力的に取り組まれている前川泰山氏。
これからの業界を担う若手作家へのエールを込めて、新作を特別出展します。
珊瑚工芸「疫病退散(アマビエ)」
深海の宝物・宝石珊瑚は魔除け・厄除け・安産祈願のお護りとして、古来より人々に愛され親しまれてきました。この度のコロナ禍は地球規模で、人類史上かつてない程の不安を人々に与えています。魔除け宝樹である珊瑚で象られた妖怪「アマビエ」は、コロナ禍の不安の一刻も早い終息を願い、約6ヶ月を費やし創作されたものです。珊瑚素材を自然の形のままに活かすことを心掛け、細い枝は砕いて粉状にし(珊瑚抹)、更に彩色を施し、背景や補充材として活用しています。「アマビエ」の絵を人々に見せると「疫病除け」になるとの言い伝えから、この作品の画像を多くの人々とシェアすることにより、コロナ終息に近づくことを願っています。
珊瑚工芸『凩(こがらし)』
凩に向かう児に見る未来かな 墨酔(泰山俳号)
雪とこがらしが吹きすさぶ中、一生懸命に進んでいく北国の少女。作者はこがらしに現在のコロナ禍の状況を重ね合わせ、困難に打ち勝ち進んでいく少女に未来と希望を託しています。白珊瑚と石塑をベースに各種珊瑚抹を用いることで、繊細な表現が可能となりました。
使用素材:白珊瑚、石塑、赤珊瑚抹、白珊瑚抹、黒珊瑚抹、カラー珊瑚抹、流木、和紙、金属粉、パステル等
前川泰山略歴
1937年(昭和12年) | 高知県高知市に生まれる(本名:通泰) |
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1954年(昭和29年) | 珊瑚彫刻家 須賀正融氏に師事 |
1965年(昭和40年) | 前川珊瑚工房 設立 |
1971年(昭和46年) |
初の大型珊瑚巧芸画『白鷺』(1.8m×3.1m)完成 世界貿易センタービル(東京・浜松町)に展示さる(大倉珊瑚店所蔵) |
1974年(昭和49年) | 珊瑚巧芸画『羅浮仙』(2.4m×2.8m)完成 文部省指定 珊瑚博物館に所蔵さる |
1976年(昭和51年) |
高知県の依頼により上皇、上皇后両陛下(当時の皇太子御夫妻) 御来高を記念して献上作品 額装『長尾鶏』作製 |
1977年(昭和52年) | 全日本さんご祭にて通商産業大臣賞受賞 |
1978年(昭和53年) | さんご祭名作コンテストにおいて全3部門で無鑑査となる |
〃 ( 〃 〃 ) 賜 | 昭和天皇陛下御買上げ |
1980年(昭和55年) |
珊瑚巧芸画の大作『龍虎の図』(2.4m×5.0m)完成 日本サンゴセンターに所蔵さる |
1985年(昭和60年) | 虎の実物大『威風』完成 珊瑚博物館に所蔵さる |
1987年(昭和62年) | ホワイトライオンの実物大『聖なる王』完成 日本サンゴセンターに所蔵さる |
1988年(昭和63年) | 高知新阪急ホテルにて35周年記念個展開催 |
1990年(平成2年) | 現 上皇陛下の天皇即位礼を記念して献上作品『寿雅』作製 |
1991年(平成3年) | 卓越技能功労者「現代の名工」として労働大臣彰受彰 |
1992年(平成4年) | 国連障害者の10年を記念して内閣総理大臣彰受彰 |
1993年(平成5年) | 今上陛下(当時の皇太子殿下)の御成婚を記念して献上作品『瑞祥』作製 |
1995年(平成7年) | 作品集『皇室と珊瑚』出版。同出版記念個展開催 |
2000年(平成12年) | 伊、ナポリ、トーレ・デル・グレコにて個展開催 |
2001年(平成13年) | 秋の褒章にて黄綬褒章を受章す |
2009年(平成21年) | 10月 珊瑚抹龍馬像『暁翔』(台座込みの全高:2m)完成 |
2013年(平成25年) | 台湾、台東寶石珊瑚博物館に作品が所蔵され、前川泰山コーナーが設けられる |
2015年(平成27年) | 高知市文化プラザかるぽーとにて就業60周年記念個展開催 |
2018年(平成30年) | 富山県氷見市 ギャラリーつばさにて傘寿記念個展開催 |
2019年(令和元年) |
高知県の依頼により今上陛下の天皇即位礼を記念して 献上作品『珊瑚抹画 慶賀暁朝~桂浜~」作製 |
2020年(令和2年) |
10月 『疫病退散(アマビエ)』完成
11月 高知県立坂本龍馬記念館にて1ヶ月間特別展示 |
日本における珊瑚美術工芸の第一人者として、後進の育成に努め、珊瑚工芸の発展に寄与す。
審査員より一言
大変ユニークで面白い着眼点で制作された作品。やってくる新しい歳を必死で止めようとしている鼠の姿、思わず笑みがこみあげてくる。また、傍らの古木に自生した植物のディテールは枯珊瑚の風合いを生かした素晴らしい仕事がなされている。ただ、意見の分かれるところだがベースの道や草に関しても珊瑚を使って表現できれば、より珊瑚芸術作品としての完成度は高まったのではないだろうか。一見ユーモラスで楽しい作品なのだが、作者の技量を十分味わえる作品である。